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果穂に用意された衣装に着替える羽目になった頼香とかわねこは、本職の観光協会の人にまで記念撮影をお願いされてしまい、やっとの事で駅前の人だかりを抜け出せたのだった。
「ふぅ、いきなり撮影会になるなんて参ったな」
「お礼にポンジュースもらったのが救いにゃぁ」
「で、これからどーする?」
「温泉地に来て温泉入らないのは、言語道断にゃ。お風呂にゃ!」
土産物屋が立ち並ぶアーケードを冷やかしつつ、有名な本館の前にたどり着いた二人。そこで入浴券を買うのだが、料金表を見ながら思案の表情になる頼香。どうやら何段階か種類というかランクがあるらしい。
「入浴のみ、お茶付き、個室で団子付き……どれにする?」
「せっかくにゃ。一番高いのにするにゃ ( ̄^ ̄)▽」
「というと、霊の湯3階・個室か。すいません、子供二人」
どのランクにするか かわねこがきっぱり決めたので、入浴券を買って3階の個室の座敷へと階段を上がっていく。そこで浴衣が用意されているので、早速着替える二人であった。貸しタオルもあるので、本当に手ぶらで大丈夫な様だ。
「さぁ、お風呂にゃ。温泉にゃ」
「よし、行くか」
以下、入浴シーンなのだが、当局の指導により検閲削除……の所を、特別に果穂ちゃんが補完したので、その記録を……
「ふぅ、いいお湯にゃぁ。頼香ちゃん、遅いにゃ」
「あのなぁ俺は髪を束ねなきゃならないんだぞ。少しは待ってろ」
「せっかくすいてるんだから、早く入らなきゃ損にゃ」
「そう急かすな。それじゃ俺も……ふぅ、極楽極楽~」
湯船に気持ちよさそうに浸かる頼香とかわねこ。旅の疲れも取れるというものだ。自分の裸を見られるのが恥ずかしい頼香は、湯船の中でもついつい膨らみかけた胸を腕でさりげなく隠したりしてたりもする。
「そういやアレだろ。坊ちゃんっていえば『およぐべからず』だろ」
「それは男湯の方にゃ。ついでに言うなら、安い方の『神の湯』の方にゃ」
「そうなのか。見てみたかったんだけどな」
「男湯に入れば見れるにゃ。小学生ならパパと一緒に入っても不思議じゃないにゃ」
「するか!!」
かわねこの提案に本気で言い返す頼香。いくら元男性であっても、今の身体で男湯に入ろうなどとは、全く持って考えがたい事だ。なにせ今の自分は間違いなく少女なのだから。
「って事で、泳いでみるにゃ」
「あ、こら、バタ足するな。お湯が跳ねる」
「頼香ちゃんもどうにゃ?」
「子供じゃあるまいし……って、やめんかい!」
およぐべからずの注意書きが無いのを良い事に、泳ぎ始める かわねこ。側でバタ足をされたらたまったものではない。言っても聞かないので、腕ずくで止めても良いのだが、まずは思いっきり水鉄砲を浴びせる頼香。
「あにゃ! よくもやったにゃぁ!」
「ふふん。おとなしくしないからだ」
「お返しにゃ!」
「うわぁ」
じゃれ合うというか一緒になって騒いでいるうちに、他のお客さんが入ってきたのに気が付かなかった。そのせいで苦情を受けた係の人がが……
「お客さん!! 静かにしてください!!」
「「ご、ごめんなさい(にゃ)」」
こうして女湯にも「およぐべからず」の掲示がされるようになったとか。
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