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現地にて走り書き

 投稿者:かわねぎ(司令官)メール  投稿日:2003年10月19日(日)17時16分20秒
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  「ふぅ、出張疲れるなぁ……フレイクス少尉に任せたいところだけど、いかんせんまだ少尉だからな……」

 TS9の司令官は、地球の日本、更に詳しく言えば東北地方のとある駅に降り立ち、大きく伸びをしながら、そうつぶやいた。手にした紙の地図には「白鷺重工業・福島工場」とある。惑星連合と秘密裏に交渉を持っている企業が何カ所かあるのだがその一つに出向いてきたのであった。

 本来、地球在駐の士官として、ライカ・フレイクス少尉がいるのだが、たまたま佐官が出向かざるを得ない内容だったらしい。

「それにしても鉄道の日フリーきっぷがあったから、出張旅費が浮くな♪」

 司令官が手にしているのは、JR全線に乗れるフリーきっぷ。その代わり、普通列車しか乗れないという制限があり、その為に早起きしてきたのであった。そこまでして、というかもしれないが、休暇の時はいつもそのような切符を使っているので、慣れっこであった。

「さて、れも君にお土産を買っていかないとな……」

 キオスクで柏屋の檸檬を買い求めた司令官は、ふと、切符売り場の脇に貼ってあるポスターに目を止めた。

「……! これは……!!」

  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★

 TS9司令室。司令官不在ではあるが、そのようなときも れも副司令の的確な指示により、そつが無く運営されているのである。司令席に座る れもに、司令部員の士官が片手に地球の携帯電話の様な機器を持って、報告する。

「副司令、かわねこ少尉から通信……地球からの音声通信です」
「ご苦労様。繋いでください」
「こちらをどうぞ」

 携帯電話を受け取ると、話し始めるれも。電話に出たのは司令官ではなく、確かに『かわねこ』だあった。

「珍しいですね、自分からその姿になるなんて……」
『いや、いろいろ事情があってにゃぁ……実はれも君にお願いがあるのにゃ』
「なんでしょう? まさか、急に休暇が欲しいとか言うのではないでしょうね」
『……そ、その通りなんだけどにゃ……いいかにゃ?』
「まぁ万一のため、司令のスケジュールはなるべく空けるようにしましたけれど……」
『なら大丈夫だにゃ。お詫びにお土産買っていくにゃ』
「そういう問題じゃありません。すまないと思うなら、司令部員全員にお願いします」
『ううっ、檸檬は高いから全員分は大変なのにゃ』
「どうせ普通列車で旅費を浮かしているんでしょうから、それ位したってバチは当たりません!」
『仕方ないにゃぁ。それじゃ司令部のみんなによろしくにゃ』

 電話を切りながら、ため息を一つつく れも。司令官が休暇を言い出してそのまま鉄道旅行に行くという事は度々ある事なのだが、その度に自分にしわ寄せが来るのが大変なのだ。苦労性の上に貧乏籤を引かされるのだから、れももたまったものではない。れもから携帯電話を返してもらった司令部員は、少し不思議な表情をしていた。

「司令ならともかく、かわねこ少尉が出張ついでに休暇なんて珍しいですね」
「そ、そうね。司令代理をさせていますから、ストレスもたまるのでしょう」
「何かお土産を催促していたみたいですが」
「喜んでいいわよ。少尉は全員分買ってくるって言いましたからね」

  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★

「よし、休暇も無事取れたにゃ。駅員さん、小学生1枚にゃ♪」

 駅のポスターには「新幹線乗り放題・小中学生秋休みパス発売中」と書いてあったのは、音声通信では分からない事であった。
 
 
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