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「今日も暇だな…TS9のラウンジには誰かいるかな?」
1人乗りの輸送艇、「ほわいとあーく」のコクピットで茶をすする男、ガソダム。
彼の体の一部は装甲で覆われており、
その装甲は「RX-78-2ガンダム」を髣髴とさせるものだった。
「髭が生えてきたな…ふぅ、剃らないとなぁ…」
髭をさすりながら、タッチパネルに目をやる。両手を操縦桿から離してるが、自動操縦なので大丈夫…な筈なのだが…
と、突然の警告音で我に返る。
『遮蔽物と接触、右エンジン破損』
『前方に障害物、注意』
顎に気をとられているお陰で自動操縦の設定を忘れ、デブリ帯へ突っ込んだようである。ドジな男だ。
「なあぁ、あばば、べべべべ」
かなり、というより猛烈に気を動転させたガソダムは無茶苦茶な軌道修正をしながら、デブリの群れをかわす。
倉庫の中の荷物の山がガタガタと崩れ落ちる音がする。固定の仕方が悪かった様だ。
「うぅ…右エンジン潰れた…3日は修理かかるだろうなぁ…はぁ」
なんとかデブリ帯を抜けたガソダムは、自動操縦を設定するとそのまま操作盤の上に顔を伏せた。
「あぁ、凄くナーバスだ…そうだ!そんなときのために市場から、「元気の出るドリンク」を買っておいたんだっけ」
「そーだった、そーだった」と連呼しながら、ドリンクケースから瓶を取り出す。中に入ってる液体は何やら異様な雰囲気をかもしだしており、蓋を開けるとぶくぶくと泡だった。
「これ、大丈夫なんだよねぇ……」
少し(?)不安になりながらも、瓶の中の緑色の液体を飲み干す。
「よし、これでだいじょう…う゛!! 」
じゃなかった。腹部に激痛を覚えたガソダムはその場でもがき苦しみ、そのまま気絶してしまった。
「う…う~ん、あ、あれ?ここは? 」
『現在目標地点まで航行中、目標まで、あと2時間です』
音声ナビゲータが、現在の状況を伝える。
「え?あれ、僕はどうしたんだったかな…たしかデブリ帯に突っ込んで、エンジン壊して、それで、えぇ~っと…あ、ドリンク!! 」
記憶をたぐり寄せたガソダムは、きょろきょろとあたりを見回した。だが、瓶の姿は見当たらない。
「あぁ~どこに転がって行ったんだろ…ん?なんか声が変…?…腕が細い!?あ、ある!ない!! 」
順当にお約束をやってくれたようだ(笑。
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